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シャワーチェアーの重大製品事故報告 今こそ見直したい浴室の安全確認

目次

はじめに

2026年6月2日付で、厚生労働省などから入浴用椅子(シャワーチェアー)に関する重大製品事故報告の情報提供が行われました。

シャワーチェアーは、入浴時の立ち座りや姿勢保持を支える重要な福祉用具です。しかし、浴室は水や石けん、湯垢などの影響を受けやすく、転倒リスクが高い環境でもあります。

「毎日使っているから大丈夫」

そう思っている福祉用具ほど、実は見えない劣化が進んでいることがあります。

今回の情報提供をきっかけに、シャワーチェアーの安全な使用について改めて確認してみましょう。


この記事は移動中などに「音声」で聴くことができます。

シャワーチェアー事故で注目したいポイント

製品だけでなく浴室環境も確認することが重要

今回の公表情報では、事故原因の詳細までは公表されていません。

しかし、これまでの注意喚起資料などでは、以下のような点が事故につながる可能性として示されています。

  • 脚部高さ調節機構の不具合
  • 固定ピンやバネのさび
  • 脚ゴムの劣化
  • 床との接地不良
  • 石けん成分や湯垢による滑り

特に浴室では、わずかなぐらつきや滑りが転倒事故につながる可能性があります。

そのため、「製品の状態」と「浴室の環境」の両方を確認する視点が欠かせません。


見落としやすい脚部の劣化

高さ調節機構は安全性に直結する

シャワーチェアーの多くは利用者の身体状況に合わせて脚の高さを調節できる構造になっています。

しかし、

  • 固定ピンが十分に入っていない
  • バネがさびている
  • 調節穴が変形している

といった状態になると、使用中に脚が不安定になるおそれがあります。

特に座る瞬間や立ち上がる瞬間は大きな力が加わるため、わずかな不具合でも転倒につながる可能性があります。

外観上は問題がなく見えても、内部部品が劣化している場合もあるため注意が必要です。


脚ゴムは消耗品という意識を持つ

劣化した脚ゴムは滑りやすくなる

脚ゴムは浴室床との接地を安定させる重要な部品です。

しかし、

  • 長期間の使用
  • 洗剤の付着
  • 石けん成分の蓄積
  • 経年劣化

によって性能が低下します。

次のような状態が見られる場合は注意が必要です。

  • ひび割れ
  • すり減り
  • 変形
  • 硬化

脚ゴムは消耗品です。

本体がきれいでも、脚ゴムだけが劣化しているケースは少なくありません。


利用者の動作も事故要因になる

浅く腰掛ける動作に注意

事故は製品だけの問題で発生するわけではありません。

例えば、

  • 疲労時に浅く腰掛ける
  • 前方へ体重をかけて立ち上がる
  • 座り直しを繰り返す

といった動作は椅子に大きな負荷を与えます。

また、入浴中は身体が濡れているため、姿勢を立て直すことが難しくなります。

下肢筋力が低下している方や関節痛のある方ほど、シャワーチェアーへの依存度が高くなるため、利用者の身体状況も含めて評価することが大切です。


特定福祉用具販売だからこそ点検が重要

シャワーチェアーは介護保険制度における特定福祉用具販売の対象品目です。

レンタル品とは異なり、定期的な専門職による点検が入りにくい特徴があります。

そのため、

  • 利用者本人
  • 家族
  • 訪問介護員
  • 福祉用具専門相談員

が日常的に状態を確認することが重要です。

購入した時点が安全のゴールではなく、安全管理のスタートと考えることが大切です。


学生・若手福祉用具専門相談員へのアドバイス

若手の福祉用具専門相談員が現場で陥りやすいのは、「製品だけを見てしまうこと」です。

しかし事故の多くは、

  • 製品
  • 利用者
  • 住環境

の組み合わせで発生します。

シャワーチェアーを選定するときは、

  • 利用者の立ち上がり能力
  • 浴室床の材質
  • 洗い場の広さ
  • 介助者の有無

まで確認しましょう。

福祉用具を見る視点から、生活環境全体を見る視点へ広げることが事故防止につながります。


色のユニバーサルデザインから考える浴室の安全

浴室は照明の反射や湯気の影響で視認性が低下しやすい場所です。

色のユニバーサルデザインの考え方では、「色だけで情報を伝えない」ことが重要とされています。

例えば、

  • 高さ調節ボタン
  • ロック部
  • 握り部分

などは色だけで区別するのではなく、

  • 形状の違い
  • 触感の違い
  • 文字やマーク

を併用することが望ましいとされています。

高齢者や色覚特性のある方にとっても、安全で分かりやすい製品設計につながります。


まとめ

厚生労働省などから情報提供されたシャワーチェアーの重大製品事故報告は、浴室における安全確認の重要性を改めて示しています。

事故防止のためには、

  • 脚部高さ調節機構の確認
  • 脚ゴムの点検
  • 浴室床の清掃
  • 利用者の動作確認

を継続的に行うことが大切です。

毎日使う福祉用具だからこそ、「いつも通り」を安全に続けるための点検習慣を持ちたいものです。


今日から使える安全アドバイス

  • 使用前に脚部が確実に固定されているか確認する
  • 脚ゴムのひび割れやすり減りを点検する
  • 浴室床のヌメリや石けん成分を除去する
  • 座面や脚部のさび・変形を確認する
  • 利用者が浅く腰掛けていないか観察する
  • ぐらつきを感じた場合は直ちに使用を中止する
  • 年数が経過した製品は部品交換や買い替えも検討する

日々の小さな確認が、大きな事故を防ぐ第一歩になります。

重大事故情報「出典:厚生労働省 重大製品事故報告(2026年6月2日公表)」

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この記事を書いた人

著者プロフィール

福祉用具・介護用品・製品安全分野に長年携わり、製品の安全性や品質向上、事故予防に関する業務に従事してきました。

福祉用具は、利用者の生活や自立を支える大切な道具です。一方で、使用環境や身体状況によっては、思わぬ事故やヒヤリハットが発生することもあります。

これまでの経験を通じて、「事故はなぜ起こるのか」「どうすれば防げるのか」を常に考えながら、製品安全やリスクマネジメントに取り組んできました。

このブログでは、福祉用具や介護用品の安全な使い方、事故予防のポイント、製品安全に関するニュースや話題を、できるだけ分かりやすくお伝えしています。

また、YouTubeチャンネル「福祉用具安全ナビ」では、福祉用具に関するニュースや安全情報を音声コンテンツとして配信しています。

利用者、ご家族、福祉用具専門相談員、介護職の皆さまが、安全で安心な生活を送るための一助となれば幸いです。

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