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入浴用すべり止めマットの横滑りを防ぐには?裏面吸盤の劣化と浴室床材の確認ポイント

目次

はじめに

入浴中の転倒事故は、家庭内で起こりやすい事故の一つです。

その対策として多くの家庭で使用されているのが、入浴用すべり止めマットです。しかし、「滑りにくい素材だから安心」と思っていても、マット自体が横滑りすると、かえって転倒の危険につながることがあります。

特に、裏面の吸盤の劣化や浴室床材との相性は見落とされやすいポイントです。

今回は、入浴用すべり止めマットの横滑りを防ぐために確認したいポイントについて紹介します。


入浴用すべり止めマットの役割

入浴用すべり止めマットは、浴槽内や洗い場で足元の滑りを抑え、立ち上がりや方向転換をしやすくするための福祉用具です。

厚生労働省の介護保険制度では、製品によっては特定福祉用具販売の対象となっています。

目的は、

  • 足裏と床面の接地を安定させる
  • 転倒リスクを減らす
  • 入浴時の不安感を軽減する

ことにあります。

しかし、マットが床面にしっかり固定されていなければ、本来の役割を十分に果たすことができません。


なぜ横滑りが起こるのか

裏面の吸盤が劣化している

吸盤式のマットは、吸盤が床に密着することで固定力を発揮します。

しかし、

  • 吸盤がつぶれている
  • 一部がちぎれている
  • 長期間使用して弾力が低下している

といった状態になると、固定力が弱まり、マットが動きやすくなります。

見た目がきれいでも、裏面の劣化は進んでいることがあります。

浴室床材との相性が合っていない

吸盤は平らな面に密着することで効果を発揮します。

しかし、

  • 細かな溝がある床
  • 凹凸加工された床
  • 滑り止め加工が施された床

では、吸盤の間に空気や水が入り、十分な固定力が得られないことがあります。

近年のユニットバスでは、細かな凹凸加工が施された床も多く、吸盤式マットが適さない場合があります。

床材によっては、自重で安定するタイプのマットが適していることもあります。


使用前に確認したい5つのポイント

① マットが床にしっかり密着しているか

設置後に端を軽く押して、浮きやガタつきがないか確認しましょう。

② 吸盤に傷みがないか

裏返して、

  • ちぎれ
  • 変形
  • つぶれ

がないか確認します。

③ 端がめくれていないか

端が浮いていると、足先が引っ掛かる原因になります。

④ 表面がすり減っていないか

長期間使用すると、表面の滑り止め効果が低下することがあります。

⑤ 清掃後も同じ位置に安定して置けるか

洗浄後は吸盤の付き方が変わることがあります。

使用前に軽く動かして、ズレやすくなっていないか確認すると安心です。


初めて介護用品を選ぶご家族が見落としやすい点

介護が始まったばかりのご家族は、

「表面が滑りにくそう」

という点に注目しがちです。

しかし、安全性を左右するのは、表面だけではありません。

実際には、

  • 裏面の固定方式
  • 浴室床材との相性
  • 利用者の身体状況

なども重要です。

インターネットやホームセンターで見た目だけで選ぶと、浴室床に合わず十分な固定力が得られないことがあります。

迷った場合は、福祉用具専門相談員などに相談することも一つの方法です。


利用者の状態によって注意点は変わる

下肢筋力の低下やバランス能力の低下がある方は、立ち上がる際に強く床を踏み込むことがあります。

また、

  • 片麻痺がある方
  • 方向転換時に足をひねる動作が多い方
  • 入浴に不安が強い方

では、わずかなズレでも転倒につながる可能性があります。

そのため、使用者の身体状況に応じて、定期的な確認や製品の見直しを行うことが大切です。


家庭でできる確認の流れ

日頃の点検は、次の順番で行うと確認しやすくなります。

  1. マットが床に密着しているか確認する
  2. 端の浮きやめくれを確認する
  3. 裏面の吸盤の状態を見る
  4. 表面の摩耗を確認する
  5. 床材に合わないと感じたら別のタイプを検討する

数分の確認でも、入浴時の安心感につながります。


学生・若手福祉用具専門相談員向けアドバイス

入浴用すべり止めマットを提案するときは、「滑りにくい素材です」と説明するだけでは十分ではありません。

現場では、

  • 浴室床の材質や凹凸の有無
  • 利用者の立ち上がり動作
  • 方向転換の癖
  • 清掃方法や設置場所

まで確認することが重要です。

福祉用具は製品単体で安全が決まるのではなく、「人」と「環境」と「動作」が組み合わさって初めて安全性が確保されます。

「床との相性を見る」という視点を持つことが、実践力向上につながります。


色のユニバーサルデザインから見る安全性

色のユニバーサルデザインでは、誰にとっても見分けやすい配色が重要とされています。

入浴用すべり止めマットも、

  • 床との色の差をつける
  • 白や淡色の床では濃い色を選ぶ
  • 境界が認識しやすい色を選ぶ

ことで視認性が向上します。

高齢者は加齢によりコントラストの識別能力が低下することがあります。

床と同じ色のマットでは位置がわかりにくくなり、足を置く場所を誤ることがあります。

安全性を高めるためには、「滑りにくさ」だけでなく「見やすさ」も大切な要素です。


まとめ

入浴用すべり止めマットは、入浴時の転倒予防を支える身近な福祉用具です。

しかし、

  • 表面の滑りにくさ
  • 裏面の吸盤の状態
  • 浴室床材との適合
  • 利用者の身体状況

によって安全性は大きく変わります。

「表面が滑りにくいか」だけでなく、

「裏面が床にしっかり合っているか」

という視点を持つことが、安心できる入浴環境づくりにつながります。

日々のちょっとした確認が、大きな事故を防ぐ第一歩になります。


今日から使える安全アドバイス

✓ 入浴前にマットのズレや浮きを確認する

✓ 裏面の吸盤の傷みを定期的に見る

✓ 清掃後は再度固定状態を確認する

✓ 床に凹凸がある場合は別タイプのマットも検討する

✓ 床と区別しやすい色のマットを選ぶ

✓ 不安がある場合は福祉用具専門相談員に相談する


参考情報

  • 厚生労働省「介護保険制度における特定福祉用具販売」
  • 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具情報」
  • 消費者庁「高齢者の転倒事故に関する注意喚起」
  • 各福祉用具メーカーの取扱説明書・使用上の注意事項

「滑りにくい表面」だけでなく、「床にしっかり密着している裏面」にも目を向けることが、安心できる入浴環境への近道です。

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この記事を書いた人

著者プロフィール

福祉用具・介護用品・製品安全分野に長年携わり、製品の安全性や品質向上、事故予防に関する業務に従事してきました。

福祉用具は、利用者の生活や自立を支える大切な道具です。一方で、使用環境や身体状況によっては、思わぬ事故やヒヤリハットが発生することもあります。

これまでの経験を通じて、「事故はなぜ起こるのか」「どうすれば防げるのか」を常に考えながら、製品安全やリスクマネジメントに取り組んできました。

このブログでは、福祉用具や介護用品の安全な使い方、事故予防のポイント、製品安全に関するニュースや話題を、できるだけ分かりやすくお伝えしています。

また、YouTubeチャンネル「福祉用具安全ナビ」では、福祉用具に関するニュースや安全情報を音声コンテンツとして配信しています。

利用者、ご家族、福祉用具専門相談員、介護職の皆さまが、安全で安心な生活を送るための一助となれば幸いです。

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